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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

ところで彼は久しい前から、例の旅人蔵へ捕らえられている沢山な可哀そうな旅人どもに逢って見たいと思っていたが、今日初めて鬼王丸へその希望を話したところ、鬼王丸は笑いながら彼の好奇の希望を入れた。そして二人はその場からすぐ旅人蔵へ行ったのであった。葡萄大谷におった頃、二、三度姿を見たことのある東条数馬がその蔵に、他の多くの旅人と一緒に押し込められているのを見ると彼は少からず喜んだ。しかしそうした素振りは見せず何気ない様子でこう云って見た。

「前髪立ちのあの若侍、愚僧大いに気に入り申した。旅人蔵から解放し愚僧に賜わることなりませぬかな?」

するとにわかに鬼王丸は大きな声で笑い出したが、「さてはお国西班牙でも衆道流行と見えまするの。ほんにあそこにいる稚児侍、美しい縹緻を致しておるわい。お気に召したら遠慮なくお使いめされてよろしゅうござる」こう云ってすぐに許してくれた。

そのため二人、偶然話し合う事が出来たのであった。やがて日が暮れ夜となった。

オースチン師と数馬とは、芳江とそして市之丞とをどうしたら救うことが出来るかと、肺肝を砕いて語り合った。

「ともかく一人城内の武士をこっちの味方に付けずばなるまい。