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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「…………」老師は黙って考え込んだ。あるべきことでないからである。ふと老師の心の中に一つの考えが浮かんで来た。
「市之丞殿はどこにいるな? お前は確かに知っている筈だ」
「土牢の中におりまする」
「ナニ土牢の中にいる? いずれ鬼王丸の命令けであろうが無惨のことを致しおるのう。……市之丞殿を盗み出したのも恐らくお前達の仕業であろうな?」
「仰せの通りにござります。私とそして青竜二郎とで、芳江姫を最初に奪い、それから市之丞殿を咒縛したまま担ぎ出しましてござります」
「何故土牢などへ入れるのじゃ?」
「芳江姫が強情で鬼王丸殿の仰せを諾かず、それで姫を屈伏させるため、市之丞殿を土牢へ入れ苦痛を与えたのでござります」
「憎い奴は鬼王丸じゃ。でその土牢の市之丞殿はまだ健康であるであろうな?」
「今日までは健康でござります。しかし明朝もしもの事あって、芳江姫が約束を破り鬼王丸殿に従わぬ時は用捨なく殺すことになっておりまする」
「それで解った」
と叫びながら数馬の方へ顔を向けた。
「お聞きの通りじゃ、鬼王丸め、市之丞殿を殺すと嚇して、芳江姫を屈伏させ己が色慾をとげようとするのじゃ。