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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「おおさ、難題でも無理でもない」

「父上、それでは申しますが、この山吹は某の可愛い許婚でござりますぞ」

「そうじゃ、その方の許婚じゃ、その許婚にしてやったのは、他でもないこの父じゃ」

「その某の許婚――いわば某の妻の山吹、その山吹を奪うとは言語道断でござりませぬか?」

「言語道断であろうとも無理難題であろうとも、相手が主君であって見れば、黙って従うのが家来の道」

「いえいえそれがわが君様の、ご本心ならばともかくも、そうではのうてあの狐めの戯れ半分の悪戯いから、殿の心をたぶらかし、この山吹を賭物にして、もしこの山吹をわが君が、心に従わすことが出来たなら、あの狐めも殿の御心に、従うなどと申し上げて、そそのかしたがそのために」

「それでお前はその狐めを――いやいや狐などと勿体ない、殿のお側室の鳰鳥殿を、殺めようなどと考えて、殿のご酒宴の真っ只中へ駈け入ろうと犇めいておったのじゃな? 白痴者の迂濶者め、もし殿にふしだらがござるなら、またもしお側室の鳰鳥殿に不都合の事などがあらるるなら、生若いその方などが立ち騒ぐ前に、お家の老職のこの甚五衛門がとうにお諫め申しているわ!」