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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
右の脚からまた白煙が一筋ボーッと立ち上がった。そうして脚は焼け落ちた。
「左右の大枝へ火が付いた!」
こう叫んだ時には鬼王丸の左右の腕にも火が付いていた。ボーッと立つ白い煙り、見る見る腕は焼け落ちた。
こうして後に残ったものはわずかに首と胴体ばかり、それさえやがて火に包まれた。
「無念!」
と鬼王丸が叫んだ時には、一抹の灰が残ったばかり、鼻を衝く鋭い樟脳の匂いが空気を一杯充たしていた。
極悪非道の怪物もこうして四大無に帰したのである。
その時バラバラと森の中から妖精どもが走り出て来たが、それを追いながら現われたのは御嶽冠者とオースチン老師、東条数馬と権六とであった。
それと見た才蔵は仰天し、「お師匠様、大変でございます。また妖精どもがやって参りました」
「いやいや彼らは人間じゃ。正真正銘の人間じゃ。……あいや方々何んのご用でこのような所へ参られたな?」と気さくな調子で声をかけた。
「少しく尋ぬる人のござって」――オースチン老師がこれも気さくに愛嬌よく笑いながらすぐ答えた。
「どなたをお尋ねなされるな?」
「白い頭髪の老人でござる」
「白い頭髪の老人とな? 貴殿も私も髪は白いが」