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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「頭、そいつあいけません。あなたの方には用はなくとも先方には用があるのでしょう」
「ではそれは本当のことか?」
「何んの嘘を云いやしょう。百も儲かる話じゃねえ。ひっ叱られるのがオチでさあね」
「ふうむ、どうも可笑しいな、で、人数はどのくらいある?」
「駕籠が二挺にお供が二十人、金紋先箱えらい見識です」
「駕籠の中がお使者だな。つまり正使と副使だろう」
「ところが一挺は女駕籠です」
「なに女駕籠? 解せないの」
「進物箱が十行李もあって、十人の家来がエッチラオッチラ、大汗流して担いでおりやす」
「進物や女駕籠はどうでもいい、まこと木曽家のお使者なら、うっちゃって置くのも気の毒だ」
「へえ、さようでございますとも」
「俺も根からの泥棒じゃねえ。これでも越後の上杉家では五千貫取った歴々だ。使者の扱いぐらい知っている。早く客殿を掃除しな」
「へえ」と云うと鳥市は、鳶のように舞って立ち去ったが、山寨の中には女もいる、それらの女どもに手伝わせ、いつもは用のない客殿を、掃除する音が聞こえて来た。
ややしばらく間を置いて、いよいよ使者が着いたのでもあろう。玄関の方が騒がしくなった。
「どう考えても解せないことだ。