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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

迫る武者押し

その時、廊下を走る音がして、間の襖がサッと開いたが、

「お頭! 大変でございますよ!」

それは鳶の鳥市であった。

「おお鳥市か? どうしたのだ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「大軍が攻めて参りました」

「水晶山の人足であろう?」

「そんなものではございません! 甲冑武者でございます」

「甲冑武者だ? 莫迦なことを云え!」

「いえいえ本当でございます」

「しかし俺には信じられぬ」

「しかも大勢でございます」

「で、この山へ寄せて来たのか?」

「ハイさようでございます」

「麓の守備は厳重であろうな?」

「第一の固めは破られました」

そこへ第二の注進が来た。それは鎌髭の権であった。

「おお鎌髭か。様子はどうだ?」

「第二の固めを破られました」

「えい、痴けめ! しっかりしろ!」

そこへ第三の注進が来た。

「様子はどうだ? 敵は何者だ?」

「それがさっぱりわかりません」

「守備はどうだ? 守備はどうだ?」

「第三の固めを破られました」

「この意気地なしめ! 大馬鹿者め!」

そこへ第四の注進が来たが、それは山寨の副将たる千坂杢之介成政であった。数本の矢を鎧に立て所々に血を浴びている。

「おお杢之介、敵は何者だ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」