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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

この世を平和に

大勢だな。で、どんな風体かな?」

「それが大変なのでございます。腹巻き一つ着けたもの、小手脛当てだけ付けた者、そうかと思うと半裸体の乞食非人さながらの者、それがいずれも意気軒昂と、血まみれの槍や刀を携え屯ろしているのでございます」

この世を平和に

「ふんなるほど、みすぼらしいのだな」

「はいさようでございます」

「それでどうだな? 乱暴でもしそうか?」

「そんな様子は見えませぬ」

「では規律は正しいのか?」

「まことに正しゅうございます」

「ところで大将の右京次郎、どんな風采をしているな?」

「戦いの後と見えまして、衣裳は千切れ手傷を負い、無惨な有様ではございますが、容貌秀麗態度毅然、立派なものでございます」

「では野武士ではないのだな?」

「なかなかもって、さような事!」

「女がいるということだな?」

「さようでございます。百人ほど……」

「どんな様子をしているな?」

「いずれも貧しい婢女の様子で、みすぼらしい有様でございます」

「それでは一向感興がないな」佐野常氏はニヤリとした。

「ところがその中にただ一人だけ、眼を奪うばかりの麗人が混っておりましてございます」

「ほほう、そんなに美人かな」