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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
饗応の木曽踊り
辞退するより他はござらぬ」
右京次郎は断然と云った。
これには常氏も一言もなかった。しかし心中は不満であった。そうしてそのまま帰してしまうは惜しいような気持ちもした。
「なるほどそういうお心ならば、無理にお止めも致さぬが、二日三日は城中にて疲労をお休めなさるよう」
「有難うござる、お言葉に従い、二、三日ご厄介になりましょう」
右京次郎は喜んだ。
饗応の木曽踊り
この物語の女主人公、鳰鳥はその後どうしたろう? 木曽義明の運命はいかに? 久方振りで物語は木曽の天地へ帰らなければならない。
木曽家の恐ろしい乱脈は足利将軍の耳へもはいった。当時は戦国の荒み果てた世で、将軍の威令も昔ほどには、諸国の間に行われなかったが、それでも諸人は陛下に次いで尊い者に思っていた。その将軍家から木曽家に向かって見届けの使者が遣わされると聞いては、木曽家たるもの心配せざるを得ない。で城中ざわめいた。
それは晩秋のある日であったが、百人あまりの同勢が木曽街道を進んでいた。すなわち使者の一行で、正使は三好春房と云って二十八歳の若侍であった。
寝覚の床を左に見て、悠々一行が進んで行った時、貧弱しい一人の老人が、ひどく何かに驚いたように、つと行列の先を切った。