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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

バビロン風

「周囲十里※(感嘆符疑問符、1-8-78) 十年越し※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

剛腹な鳰鳥も眼を見張った。つづいて彼女の心の中へ、行って観たいという慾望が、ムクムクと頭を持ちあげた。

バビロン風

翌日鳰鳥はこっそりと「双玉の原」を抜け出して「麒麟山」へ足を向けた。

「双玉の原」を出外れるともう険しい山路でそうして雪も深かった。到底普通の女人では辿ることの出来ない道であった。

倶係震卦教の理解者たる、女丈夫鳰鳥であればこそ、平気で歩くことが出来るのであった。時々熊や狼が彼女の行手を遮ったが、しかし彼女は恐れなかった。猛獣退治の方法も震卦教の中にあるからである。深林の中では巨鳥が啼き、谷の底では「獣人」達が叫んだ。

「麒麟山」は次第に近付いて来て、建築工事の大音響が、だんだん手近に聞こえて来た。そうしてその日も暮れ方になって、夕陽が全山を染めた頃「麗人族」の市街壁が、山の頂きに見え初めた。

天孫直系の優秀人であると、自ら称しているにも似ず、「麗人族」の家造は、日本的でなくて異国的であった。そうしてそれは島国的でなく、むしろ非常に大国的であった。しかし異国的とは云うものの、支那、朝鮮、南洋的ではなく、古代バビロンやアッシリヤ的であった。