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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

会議室

姫と来ては娘ながら、俺の手には合わないのだからな。それに麗人国全体の、人望を負っているのだからな。その姫の手で隠匿うからには、いよいよ俺の持ち物にはならぬ。……だから方針を変えるのよ。囮として使うのよ。……さて会議だ、どうなったかしらん。……」

彼は威張って傲然と、会議室の方へ歩いて行った。

大物主が中座した後も、会議はドンドン進んでいた。

議論は二派に別れていた。

背に腹は換えられぬ。黄泉の岩根の獣人酋長、荒玉梟帥の乞いにまかせ、おいたわしいが美麻奈姫を、妻わせようという平和説と、それに反対する説とであった。

巨大な楕円の卓を囲み、諸将は亢奮して論じあった。

「それはならぬ! 断じてならぬ! 姫は我々の美の神だ。姫を失うことは、麗人族の大恥辱だ。たとえどのような理由があっても、それだけは断じて許すことは出来ぬ。美は我々の生命だ。その持ち主が美麻奈姫だ。姫がこの国を立ち去ると同時に、麗人国は意義を失う。意義の滅亡は国の滅亡だ。断じて断じてそれはならぬ!」

こう叫んだのは槌主であった。彼は南門の守備長で、いつも鉄槌をひっさげていた。

と、朱主が立ち上がった。