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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「御意の通りでございます。なぜご声明をなさいました?」
「何故でもないよ。思い切って、俺は姫をくれてやるのだ」
洒然として城主は云い切った。
驚いたのは山津主で、マジマジと城主の顔を見た。その様子が可笑しいかして、城主はカラカラと哄笑したが、
「解らないかな、山津主?」
「どうも私には解りかねます」
「智恵が浅いな、え、山津主」
山津主は苦笑した。そうして彼は呟いた。「そうだ俺は白痴かもしれない。とにかく城主はこの俺を、翻弄しようとしているのだ」不快に思わざるを得なかった。
と、城主が呟くように云った。
「それはそうと山津主、たしか梟帥は姫の姿を、一度も見たことはない筈だが!」
「梟帥ばかりか獣人どもは、まだ一人として姫君のお顔を拝見した者はございません」
「それが詭計の第一だ」
「ははあ詭計の……どうも解らない」
「ところでさっき里の女が――たしか鳰鳥とか云った筈だが、素晴らしい美人がやって来た」
「そんな様子でございますな」
「美人も美人、途方もない美人だ」
「それはそれは、結構なことで」
山津主はニタリとした。「美人はよいものでございます」
「俺はその女に参ってしまった」