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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

獣人の領地

虫のようにウジャウジャ住んでいるのである。歌っている者、叫んでいる者、笑っている者、詈っている者……お祭りのような騒ぎであった。

いや事実お祭りなのであった。

彼らのお頭が嫁を貰った……それを祝っているのであるから。

長い長い行列が、部落を縫って進んでいた。

お頭荒玉梟帥の家へ、お祝いに行く行列であった。

戸外で騒いでいた連中も、家の内にいた連中も、大急ぎに飛び出して来て、やはり行列へ加わった。

彼らは大ハシャギにハシャイでいた。突っつき合ったりくすぐり合ったり、蹴飛ばし合ったり、撲り合ったりした。

しかしみんな仲がよかった。

彼らはひどく率直であり、普通にいうと下等であり、下等だから真実であった。彼らには一切敬語がなかった。その必要がないからである。と云うのは平等だからであった。

「私」と云うところを「俺」と云い、「あなた」と云うところを「お前」と云った。誰に向かってもそうなのであった。

ただ一つ敬語があった。

「お頭」と云う言葉である。

しかしこれとて便宜上の言葉で、敬語と云うことは出来ないかもしれない。

荒玉梟帥は「お頭」ではあったが、普通に云うところの「お頭」