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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「そしてそれを知る手段とは?」鳰鳥は不安に眼を見張った。
その眼をジロリと甚五衛門は真正面から睨んだが、
「鳰鳥殿にはその手段が、心にかかると見えまするな。いかにも心にもかかる筈じゃ。たった一つのその手段とは、世にも奇怪なまた恐ろしいあるべからざる手段じゃほどに――噂によれば、誅せられたマドリド司僧には男女二人の遺児があるとのこと、今頃は既によい年頃、恐らく二人とも木曽のお館を父の仇敵と思い詰めて、付け狙いおるも計れず、いやいや人伝てに聞くところでは、娘の行方は解らねど、男子は御嶽山に立て籠り、御嶽冠者と名をなのり、附近の豪族を強掠して、金銀財宝を蒐めたり、多くの手下を駆り集め、ときどき木曽へも出没して、館の周囲に立ち廻わり、殿を狙うておるとのこと――これら二人の者どもはマドリド司僧の遺児であれば、髑髏盃の由緒と在所とを心得ておるに相違ない。すなわち某の申したるたった一つの手段とは、マドリド司僧の二人の遺児に、盃の在所を聞くことでござる」
甚五衛門はこう云い放し鳰鳥の様子を窺った。
鳰鳥は一足よろめいたがすぐに心を取り直し、絹を裂くような鋭い声で、甚五衛門へ云いかかった。