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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
水藻は嬉しそうに一礼したが、「お願い致したくは存じますが、あの頑固な岩石人ども、素直に返してくれましょうかしら」
「大丈夫でござる、お任せなされ」
自信を持って米主は云った。
「智恵の浅い岩石人ども、誑して取り返してお目にかけましょう。腐木の谷までご案内ください」
「いと易いことでございます」
二人の巫女は米主を導き、腐木の谷の方へ下りて行った。
滝のかかっている断崖を下り、間もなく三人は谷へ下りた。
「真向かいに見える雑木山、あの中腹に洞の国が、出来ているのでございます」
指を指しながら水泡が云った。
「では雑木山へ上りましょう」
「でも足弱の妾達には、上って行くことは出来ません」
「いかさまこれはごもっとも、では私だけ行くことにしましょう」
「それでは妾達はここに立って、岩石人達を呼びましょう。毎日の日課でございますから。そうすると小憎らしい岩石人達は、雑木で蔽うた洞の口を、ノロノロ開けるのでございます。そうして妾達を嘲笑すのです。で、今日も開けましょう。その時おはいりなさりませ」
「これは名案、そうしましょう」
で米主は上がって行った。
上り難い山ではあったけれど、苦心して米主は中腹まで上がった。