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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
天下一統に不漁なのだ」例の頭領はたしなめるように「嘘だと思うならまず聞くがいい。正しい甲斐源氏の流れを汲んだ甲州の武田はどうかというに、信玄の武勇をもってしても、京都への上洛がむずかしい。だから武田家はシケなのだ。駿遠三の大管領、今川義元はどうかというに、田楽狭間の一戦で織田信長に殺された。これほどのシケはないではないか。その他、おおかたの国持ちども、一人として天下を平げるほどの器量のある者は見当らぬ。どいつもこいつもシケなのだ!」
「しかしそうばかりも云われぬよ」伊賀袴の男が遮って、「今も話しに出た織田信長、偉い武将だということだから、そのうちには天下を一統して自分が将軍になるかも知れぬ」
「信長の偉いということは、この俺も少しは知っている。しかしどうやらこの大将は邪推深いということだから、おそらく中途で斃れるだろう」頭領はちょっと考えたが「信長の一番偉いところは、いい家来を沢山持っていることだ。丹羽五郎左衛門、前田犬千代、柴田勝家に佐久間信盛、それから身分はまだ低いが、木下藤吉郎という男、眼から鼻へ抜ける利口者で、信長のお気に入りだということだ」