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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

されば言葉に従うて、世話を受けたいは山々なれど、受けられぬ訳が一つある」

「へえ受けられぬ訳があると? 不思議なことでございますな。そうして受けられぬその訳とは?」

「他でもござらぬ、拙者には十数人の敵がござる」

「え!」と云いながら如来衛門は、思わずその眼を見張ったが、

「そうしていったいその敵とはいかなる人間でございますな?」

「いずれも逞しい山賊ども!」

「ふうむ」と思わず唸りをあげ、「してそれはどこにおりますな?」

「手近に迫っておるのじゃわい!」

云いながら武士は手を挙げて、前方の林へ指を差し、

「見られよ、向こうの林の中に、あるいは傀儡師、売茶郎、念仏僧などに身をやつして、十数人の人影が此方を眺めておろうがの。あれこそすなわち山賊ども、拙者を覗う敵なのじゃ」

「へーい、あいつらでございますか」

如来衛門は腕を撫り、林の奥を睨んだが、

「いずれ山賊というからには、どっかの山の奥の方で、こっそり住んでると思ったに、人里近いこんな処へ、群を造って出て来るとは惘れ返った大胆者! お武家様の敵でよしなくとも、抛棄って置くことは出来ません。向こうが多勢というのなら、乾児子方を駆り集め、こっちも大勢となった上で取り挫ごうじゃございませんか。