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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页

青空文庫

「政治になるとそれが反対になる。盲人千人に満足され、褒められないことにはどうにもならぬ。……政治も綜合統一じゃ。さてそいつをやったとする。あっちの希望、こっちの願望、それらを万遍なく斟酌してともかくも事を行ったとする。するというところの識者という奴が、ケチつけてくさしおる。……わしにはお前がうらやましいよ。自分の頭脳一つだけで、死物、ものをいわぬ物質を使い、自由に勝手に物を創造り上げる。不満はあっても自分だけの不満だ。……わしの方はそうはいかぬ。相手は生きている人間だ。ガヤガヤと物をいう。非難攻撃、陥穽迫害! ……が、わしは恐れない! わしは力でやっつける! 一人の力で、もっぱらに政る!」

この時九十郎がツカツカと進んだ。

田舎娘の方へツカツカと進んだ。

そうしてやにわに仮面を取った。

仮面の下から現われたのは、服部織江の顔であった。

「はたして織江! おのれどうして※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「九十郎オーッ!」

とそのとたんに、切り込んで来た漁夫姿!

「範之丞なるわ! 父の敵汝!」

「何を!」

と驚いたが九十郎、飛び違って引き抜いたは大陣刀、

「ヤア方々狼藉者でござるぞッ」