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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
「かくなりましては万事万端、申し上げまするでござりまするが、将軍様ご真筆のご遺言状、しかも殿にとり不利のお書き附け、将軍様よりご存知のお浦の手へ……」
「ナニお浦の手へ? ままごと狂女の?」
「御意、その手へ渡されました趣き!」
「いえ! 事情を! どういう訳だ!」
「逃げ水屋敷の乱闘の直前、殿よりのご命令ありましたので、わたくしお浦を将軍様お部屋へ、送り込みましてござりますが、その際将軍様ご真筆の、ご遺言状をお浦に渡し、直々松平越中守様へ、渡してくれよと御意ありました趣き、狂女ながらも誠心のお浦の、さまざまの挙動と言葉とによって、たしかめましてござります」
「わかる! 俺には! 遺言状の内容! ……西丸様を直そうとするのじゃ! うむ、十一代将軍家に!」
「おそらくさようでござりましょう」
「お浦はどうした※(感嘆符疑問符、1-8-78) お浦を殺せ! 遺言状を奪って破れ!」
「そのお浦儀行方不明……」
「探せ! すぐにじゃ、草を分けても!」
「奪い去りましたは臼杵九十郎!」
「ナニ九十郎が※(感嘆符疑問符、1-8-78) 彼奴をも探せ!」
「くわしきことを申し上げましても、詮ない次第後の祭り! ……どっちに致せその遺言状、廻り廻って越中守様の、お手に入らぬとも限られず……」