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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
04 火の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页
印可
一 中条流太刀之法
一 表
電光、車、円流、浮きふね
一 裏
金剛、高上、無極
一 右七剣
神文之上
口伝授受之事
月 日
越前宇坂之庄浄教寺村
富田入道勢源門流
後学 鐘巻自斎
佐々木小次郎殿
とあって、その後に別な紙片を貼り足したと思われるところには「奥書」と題して、左の一首の極意の歌が書いてあるのであった。
掘らぬ井に
たまらぬ水に
月映して
影もかたちもなき
人ぞ汲む
「……ははあ、これは剣術の皆伝の目録だな」
そこまでは又八にもすぐ分ったが、鐘巻自斎という人物については、何の知識もなかった。
もっとも、その又八にでも、伊藤弥五郎景久といえばすぐ、
(アアあの一刀流を創始して、一刀斎と号している達人か)
と合点がゆくであろうが、その伊藤一刀斎の師が、鐘巻自斎という人で、またの名を外他通家といい、まったく社会からは忘れられている、富田入道勢源の正しい道統をうけついで、その晩節をどこか辺鄙な田舎に送っている高純な士であるなどということはなおさら知らない。
そういう詮索よりも、
「――佐々木小次郎殿? ……ははアすると、この小次郎というのが、きょう伏見のお城工事で、無残な死に方をしたあの武者修行の名だな」