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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

右門は歓喜に顫えながら、夢か現か玄か妙か、ただ大岩に取り付くばかり、その間も岩はセリ上がり地上を離れて一間あまり、空に浮かぶと見る間もなく、ハッとばかりに横へ逸れ、大地に落ちて静まるや、岩の抜け出た大穴から、薔薇色の火光ほのめき立ち次第次第に昇ると共に、神女か妖女か髪長く束ね、草色の衣裳身に纏い、合掌の指を固く結び、両眼を垂れて幽かに結んだ、丈高き乙女が現われた。早くも見てとった権六は、思わず大声をあげたのである。

「やあ、さては女郎が女来也よな!」

「ナニ、女来也とな? その女が?」こう云いながら五右衛門は刀の柄に手をかけた。「以前京師にありし時、汝の噂を耳にしたり、女だてらに党をつくり、義を蒐めるとは猪口才千万! いで五右衛門が退治てくれる! まずその前に素姓を云え! 素姓を名のれ! 名を名のれ!」

すると横から権六が、それを引き取って云うのであった。

「さっき名のった言葉によれば、日本全国六十余州に、散在している陰陽師の司、中御門中納言の由縁の者、山尾とか申す女の由……」

それを聞くと思わず五右衛門は、よろよろと背後へよろめいたが、

「南無三宝!」