轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「どうしても俺らには解らねえ」
裸体武兵衛は落胆した声で情なさそうに呟いた、数馬も愀いを含んだ声で、
「拙者にもトント解らない」と嘆息するように独言ちた。
その間も太陽は西の方へ、急げ、急げと傾いて行く、霧が次第に厚くなり、物象を朧ろに包もうとする。雪を孕んだ凛冽たる風が颯と一陣吹いて来た、対岸の山の中腹から、濛々たる吹雪が渦を捲いて、竜巻のように空へ昇ると、そこからもここからもかなたからも吹雪の竜巻が嵐を呼んであるいは地を這い空に昇って晴朗であった今日の日が、暴風の姿を現じて来た。
「これはこうしてはいられぬわい。どうやら暴風になったらしい」
「それにもう日も暮れるそうな」
二人は言葉を取り交わせながら尚も谷底に立っていた。霧は益※(二の字点、1-2-22)濃くなった。氷の河も、雪の巌も、灌木の茂みも、山々も、灰色の霧に埋もれて次第に姿が見えなくなった。そのうち二人の姿さえ二間と互いに隔たったが最後、認めることさえ出来ないほどに、濃霧は谷に満ち溢れた。
「いっそ城下へ帰りましょうかい」
武兵衛はついにこう云い出した。
「雪の曠野へ野宿も出来ぬ、一旦、中津川へ帰りましょうかな」