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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「股!」と叫んで次に投げた。剣は股に刺さっている。

「胴!」と叫んで三本目を投げると剣は胴を貫いていた。

「肩!」「腕!」「脛!」「腹!」「胸!」「肘!」と、言葉に応じてその剣は、呼ばわった場所を貫くのであった。しかも電光の速さをもって、同じ芸を三度繰り返し一度も仕損じなかった。全く神妙の芸である。

おりから一人の香具師が、またも舞台へ現われたが、体格雄偉の大丈夫で、右衛門と呼ぶ男であった。

右衛門は紋十郎の前に立ち、片手に木刀を提げながら、

「参れ」と一声声を掛けた。「えい!」と叫んだのは紋十郎で、眩いばかりの光を放す明皓々たる十本の剣は、それと一緒に次々に右衛門目掛けて飛んで行く。

チャン! チャン! チャン! と、鋭い音が、舞台の上で起こったと思うと、十本の剣は右衛門によって悉く木刀で打ち落とされていた。

見物に混って見ていた数馬は、思わず感嘆の声を上げた。

「天晴れ見事な神妙剣! 到底香具師の業ではない。切先鋭い剣の飛礫! それを打ち払った木太刀の冴え! ウーム、迂濶には見遁がせぬわい! あの幻々の木太刀の冴えを会得することが出来たなら、坊主之助の投げる飛礫をまた防ぐことも出来るであろう。