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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「ちと心細い言葉じゃのう」
弾正の眼は稲妻のようにキラリと鋭く光ったが、
「して老師にはあそこから金石の出るということを何んによってお考えなされたの?」
「思い付きからでござる。直感からでござる」
「その直感を聞きたいものじゃ」
「いと易いこと、お話し致しましょう――私の部下の坑夫の中に丑松と呼ぶ男がござります。白痴じゃ狂人じゃと仲間の者からは軽蔑まれてはおりますが私の眼から見ますと、決して白痴でも狂人でもなく、一風変わった不思議な男で、それになかなか金山については豊富な知識を持っておる。むしろ坑夫をさせて置くのは勿体ないほどの人間でござるが、私はとうからその男へ眼を付けていたのでございます。すると最近その丑松がこう云うことを云い出しました。『金が地の下で泣いている』『地の下から金の匂いがする』と……そこで私はある日のこと丑松を連れて二人きりで鉱山の中を彷徨い歩きました。硫黄ヶ滝まで参りますと、丑松は地の上に腹這いになり、益※(二の字点、1-2-22)叫ぶではございませんか。『そりゃこそここに黄金めが掘り出されるのを待ちかねて大きい声で泣いているわい』と。