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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

芳江姫を連れ帰り粂太郎と夫婦に致さねば、白痴の一念殺されるまでも、設計図を隠した隠し場所を、云わぬと申しておりまする。……以前ご老師一行が青母衣組の奴ばらに捕虜の身となられましたのを私計らず窺い知り、驚いて部落へ取って返し、この次第申し上げたその際にも涙一つお零しなく、『一旦縁切った司僧や姫にいかなる危難降りかかろうが自身の知ったことでない』と云い切ったほどの弾正太夫様も、今度ばかりは我を折られ、幸い数馬は、この部落へは最近はいったばかりであり岩石ヶ城の者どもも顔を見知ってはおるまいによって、手段を講じ敵地へ入り込み姫を助けてはくれまいか、と、この私にお気の毒にも、丁寧なお言葉で頼まれました。人生の事意気に感ず! 私はすぐにお引き受け致し、わざと捕虜の身となってここへ参ったのでござります」

奇道の守り本尊

こういう会話の話されているのは岩石ヶ城内白虎城砦のオースチン老師の居間であった。時は五月の末であって、オースチン老師の一行がこの城内へ捕われてから一月の日が経っていた。以前は鳳凰の間のこの部屋には、芳江姫と市之丞とが老師と一緒に住んでいた筈だ。しかるに今はオースチン老師だけが一人で住まっているのであった。