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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

老師はこう云うと首をかしげた。

「私、活を入れまして正気づかせることに致しましょう」

「それではお願い致そうかの?」

そこで数馬は太郎を抱え脇腹へ活を入れようとしたが、

「此奴正気に返らせる前に是非ともお聞き致したいはご老師ご発明の不思議な機械……虚空に人間を映し出すところの霊妙不思議なあの機械、何んと申す機械でござりまするかな?」

数馬は怪訝に堪えぬようにこう老師に訊くのであった。

「おおこれか?」

とオースチン師はそこにある機械を指さしたが、

「これは別段名などはないが、無理に付ければ『幻灯』とでも云おうか、硝子や鏡や絵などを配合し、壁や白布へ絵を映し出す、ただそれだけの物ではあるがこの日本には未だなかった筈。ただこの『幻灯』の特色としては小さな絵を大きく映す。まずこれくらいのものであろう。――いずれ後日お望みとなら、詳しく製法をお話し致そう」

「是非にお願い致しまする」――数馬は大いに喜んで老師に丁寧に辞儀をしたが、やがて「エイ」と声を掛けると握った拳を太郎の脇腹へ一つドッと突き当てた。

「ウー」

と太郎は呻り出す。そこを目掛けてまた数馬は平手で彼の頬を打った。