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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「…………」白虎太郎の面上にはアリアリ苦痛の色が現われた。そうして俯向いて物を云わない。
「ははあそちは鬼王丸めを酷く恐れているらしいの。城の要害を知らせたが最後生命を取るとでも云われたか? 鬼王丸何者ぞ。たかが極悪の人間ではないか。これ俺はな天帝の神じゃ。天帝の下す神罰と人間の嚇しとどっちが恐ろしいぞ! 云わずと知れた神罰じゃ! さ、神罰の下らぬうちにその土牢まで案内せい。立て!」
と鋭く一喝した。催眠術の一手である。と、何者かに襟上を取られて引き立てられでもしたかのように白虎太郎は飛び上がった。
「先ず地下道へ案内せい! いざ数馬殿おいでくだされい」
オースチン老師は立ち上がりながら幻灯の機械を取り上げた。数馬も無言で立ち上がる。白虎太郎はツカツカと廻廊を左手へ歩いて行く。
こうして三人は忍びやかに深々と更けた夜の城砦を地下道のもとへ歩いて行った。
案内役の白虎太郎は敵方重要の人物であり岩石ヶ城の要害などは隅から隅まで心得ている。手を触れた処に入口が出来、足を踏んだ所に階段が現われる。オースチン師も東条数馬もその精妙の築城法には悉く心を驚かすばかりただ無言で従いて行く。