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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
すると妖婆は顔を上げたがまたいかにも悲しそうに、
「昨夜の夢見が悪かったからだよ。それで妾は泣いているのだよ」
「どんな夢だか話しておくれ」
桜の精は覗き込んだ。
「……ああその夢というのはね、云うも恐ろしい夢なのだよ。――それはね、お頭が滅ぼされる夢だよ」
「馬鹿な話しだ!」
と叫んだのは、樫の木の精の若者で、
「そんな馬鹿なことがあるものか。何んでお頭が滅ぼされるものか。三千年も生きて来たお頭だ」
「たとえ三千年活きようが、五千年活きようが、生命あるものには限りがある。……せっかく古巣へお帰りにはなったが、尽きた寿命なら仕方がない」
「誰に殺されるのだ? どうして殺されるのだ?」
「……空から黒いものが落ちて来て……そうしてお頭は殺されるのだよ」
「馬鹿な夢を見たものだ! つまらない夢を見たものだ! お頭が殺されてたまるものか!」
霧隠才蔵
すると一同声を上げ、
「お頭が殺されてたまるものか!」
こう云ってまたも楠の木をグルグル廻わりながら踊り出した。
と、楠の木の幹の中から鬼王丸の声が聞こえて来た。
「えい、何を騒ぎおる! 昼寝しようにも寝られぬわい!」
「それお頭がお怒りじゃ。