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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「俺の縄が解きたいなら、ここにいる男女五十人の縄を、それと一緒に解くがいい」
「なるほど」と地丸は感心したように、「うむ面白い、益※(二の字点、1-2-22)気に入った。俺は実際久しぶりで人間らしい声を聞いた。さて、そこで聞くことがある。五十人の縄は解くことが出来ない。ともし俺がこう云ったら、貴様はどう云う態度を取るな?」
「俺も縄を解かせないまでだ」
「水晶山でまた働くか?」
「皆なと忍苦を共にするのさ」
「俺が貴様を殺したら?」
「俺が死んでも思想は死なぬ。二代目の俺が出るまでだ」
「よし。その男の縄を解け! そうして五十人の縄を解け!」
「そこで貴様に要求する。俺の許婚を返してよこせ!」
「何、許婚?」と不思議そうに地丸左陣は訊き返した。
「そんな者があったのか?」
「歌道の家柄、冷泉為相、その末女の小枝というのがこの俺の許婚だ。俺は許婚の小枝と一緒に旅をしていて捕えられたのだ」
「冷泉卿の息女で小枝姫?」地丸は驚いて呟いたが、「そのお方はどこにいるな?」
「俺は石山へ追い込まれ、小枝は飯場へやられた筈だ」
「そうして只今はどこにおられる?」
「そこにいるよ! 眼の前に!」