轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
深夜であり殊に降雪、お引き返しなされ、お引き返しなされ」
それは鳶の鳥市であった。おりからドッと背後の方から鬨の声が聞こえて来た。振り返って見ると鎌髭の権が手兵を率いて控えている。
「おい左陣さん、計られたね」
傾城小銀は口惜しさに「前後を断ち切られてはもう遁がれる手段はない。覚悟をせずばなるまいね」
「うん、どうも仕方がねえ。残念ながら斬り死にだ。死人の山を築いてくれる」
一旦納めた太刀を抜くと、再び真っ向に振り冠り、前面の敵へ馳せ向かった。するとまたもや松火の光一時にバタバタと消えたかと思うと、雪を踏む音サクサクと聞こえ、やがてそれも遠ざかり消えると敵勢の影も共に消え全山寂と音もなく、二人ばかりが取り残された。
「何んだえこれは」と人丸左陣は拍子抜けがして呟いた。「まるで狐に化かされたようなものだ」
「ほんとにふざけているじゃないか」
「何はともあれ命は安泰だ。どれ前途を急ごうぜ」
二人は勇気を恢復し、足を早めて先へ進んだ。どこまで行っても山がある。森を送り林を迎え、谷を渡り峰を越し一刻あまりも走りつづけた。走ることには慣れている。少しの疲労も感じない。