轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
そこで窃かに細作を放し、この聖典を盗もうとした。企て成って楠公の手から、その聖典が失われると同時に、とみに南風競わずなり、反対に北朝は優勢となり、楠公は湊川にて討死にをとげ、二代の忠臣正行公には、一時この書を手に入れられたが、またもや奪われて四条畷にてご最期、三代の楠正儀朝臣も、三度この書を手に入れられたが、またまた奪われて不遇に終られた。その後楠氏の血統は、四度この書を手中に納めたが、書中の文言を解く事を得ず、且つは余りに足利の勢威、日本全国に行き渡り、身を置く所もなかったため、一族を率いて信濃に遁がれた。しかるに今より十年前、またもや聖典を奪われたため、楠氏の直統多門正勝、諸国を巡って尋ねた結果、ようやく取り戻しはしたものの運命尽きて兇刃に斃れたは、そちが親しく見た通り、こうして聖典倶係震卦教は、ゆくりなくそちの手中に入り、尚その上にこの老人にここで逢ったというものは天の配剤と云わなければならない」
ここまで語って来た老人は、しばらく眼をとじ神を凝らしたが、
「わしはな、南朝ゆかりの者だ。しかしいかなる身分の者かは、今はしばらく云わぬことにしよう。