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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

で、彼女は厭になるまで、ここにいようと決心した。そうして倶係震卦教を、こういう境地で修行することも、彼女には一つの楽しみであった。

一人の乙女は水泡といい、もう一人の乙女は水藻と云った。彼女らは珍らしい双生児であった。そうして彼女らは先祖代々、ここの神殿の祭司たるべく、運命づけられている人達であった。そうして神殿のご本体は、神代から伝わった二つの玉で、すなわち勾玉と管玉とであった。

そうしてここ一帯は「双玉の原」と呼ばれていた。そうして湖水の名は「双玉湖」であった。

「双玉の原」はいつも平和で、不断に霊気が漂っていた。しかし、一歩この境地から出ると、魑魅魍魎が横行濶歩し、危険この上もない蛮地であった。すなわち例の「腐木の谷」には「洞の国」が建てられてあり、神代時代に「土蜘蛛」と呼ばれた、不具醜悪な土人どもが、群をなして住んでいた。しかしこれらはまだよい方で、「双玉の原」の北外れ、深い深い谷の底……「腐木の谷」よりもさらに深い、「黄泉の岩根」と呼ばれる谷には、半分獣半分人間の「獣人」どもが住んでいて、あらゆる邪悪の振る舞いをし、禍日の製造にいそしんでいた。