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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
その隆々たる筋肉は、古い形容ではあるけれど、松の古木を連想させた。そうして容貌の醜さは、獣神として名に高い、一言主さながらで、凝視することさえ憚られた。
「黄泉の岩根」の「獣人」酋長荒玉梟帥という猛者であった。
梟帥はノシノシと進んで来た。
手入れの届いた美しい、芸術的の本城の庭も、彼の眼中にはないと見えて、見廻わそうとさえしなかった。
そうして全く不思議なことには、一度彼が現われるや、美しく見えていた庭園が、にわかにその美を失ったように見えた。
「自然」さながらの梟帥のために、人工的の美が圧迫され、急に魅力を失ったのでもあろう。
いやいや単に庭園ばかりでなく、階段に立っている「麗人族」までが、急に美しさを失ったように見えた。
梟帥はノシノシと近寄って来た。
大物主の前まで来て、はじめて悠然と足を止めたが、鷲のような眼をじっと据えて、大物主を睨んだものである。
動揺する心を押さえながら、大物主は威圧するように云った。
「おお参ったか、荒玉梟帥」
「さよう」と梟帥は吠えるように、「お召しゆえ参ってござる。何か相談があるそうで」
その態度にも言葉にも、不遜な反抗心が現われていた。