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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

こう審かしそうに鳰鳥は訊いた。

「ああそのことでございますか」百地三太夫は何んでもなさそうに、「さまざまの世間をお目にかけてあなたという人の人間を、鍛錬させようと思ったからで、他には目的はありませんでした」

この時曠野の一方から一団の同勢が現われた。

その人数は五百あまり、男もいれば女もおり、老人もいれば子供もいた。整斉として歩いて来る。

三太夫と鳰鳥の前まで来るや、その同勢は立ち止まったが、その同勢の先頭に立った、眉目秀麗高貴の相を持った一人の若者が声をかけた。

「某事は飛鳥井右京次郎、これにおるは某の許婚、冷泉小枝と申すもの、またこれにおる多勢の男女は某の盟友同志でござる。御嶽山上に御嶽冠者という、若き聖雄ありと聞き、面会して意見を交換したく、数日前に飯山の城主、佐野常氏の城を立ち、ここまで辿って来てござる。お見受けいたせばあなた方には、この木曽路の住民らしく、自然道の案内なども、ご存知のことと存じ申す。我らを導き御嶽冠者のもとへ、なにとぞお連れくださるよう」

――で、丁寧に挨拶をした。

「それはそれはご奇特のことで、実は我々も御嶽冠者殿の、濃き関係者でありまして、これより砦へ参るところ、ではご案内いたしましょう」