轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
「…………」
「やはり城内の奥の女子が、病気で帰るのでござりましょう。大熱往来いたしおるため、譫言申したのでござりましょう」
「これをお前から越中へ――定信の手へ渡してくれ。……妾から渡すのでござりますのね。――とこのように申したというのか?」
「さよう申してござります」
「越中……定信……というからには、われらの盟主桑名侯、松平越中守定信侯、このお方以外ほかにはない」
「…………」
「変だな」
と云って冬次郎は、既に遙かに行き過ぎた駕籠を、振り返り見送り考え込んだ。
(駕籠の中の女、何者であろう?)
(何を渡せというのであろう?)
「戸ヶ崎、あの駕籠を従行けてみよう」
冬次郎達は引き返した。
脇本陣からかなり距てた、本陣柊屋の門口へ、新助や外伝が来かかった時、その玄関から二挺の駕籠が、多勢の供人を従えて街道へ出、下諏訪宿の方へ向かった。
「おい新助、大変な奴がいるぞ」
供人の中に貝十郎の配下、白須源吾と桐島伴作、二人の同心のいるのを見て、外伝は驚いて囁いた。
二
「ナールほど、こいつア変だ」
新助も唸るように云った。
二人ながらこれまで二人の同心には、いためつけられたり目こぼしされたりして、ご厄介になっているからであった。