轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
しかし木乃伊の上様は、冷然としてい、粛然としてい、そうしてずいぶん滑稽な姿で、黙って坐っているばかりであった。
「いかな上様でもこればかりは、おあてあそばすこと出来ますまいよ。……上様ここでございますの」
いってお浦は緋の袖口が、柘榴の花弁のようにからみついている、両手をソロソロと上へあげた。
と、その時どこからともなく、三味線の音が聞こえて来た。
「まあ」
と意外そうにお浦はいった。
狂っていても女であった。
このような時に、このような境地で、三味線の音を聞いたのである。ハッとばかりに驚いたらしい。
で、じっと耳を澄ました。
河東節の三味線で、
※(歌記号、1-3-28)二人が結ぶ白露を
眼元でひろうのべ紙の
この辺を弾いているのであった。
不意にお浦は立ち上がった。
上様のことなど忘れてしまい、三味線に心をとらえられたらしい。板敷きを横切り裏縁の方へ、裾を引き擦って歩き出した。
十三
臼杵九十郎は柱にくくりつけた、織江の姿を眺めながら、板敷きに腹這い考えていた。
(何んという俺は馬鹿だったろう、この女の愛を得ようなどと、今日まで思っていたのだからなア)