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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

冬の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 170,664 字 · 341 页

青空文庫

第三百十五 酒の酔

○西洋料理にも蛇を用ゆる事あり。多くはブランデーに漬けて葡萄酒等にてシチューにする由。本文と同じ理ならん。

第三百十五 酒の酔

小山の妻君「そう伺って考えてみると食物の作用は面白いもので、お豆腐と松茸というような事もただ味を出すばかりでなく互に化学成分を中和させる功があるのですね。よく世間の人はお豆腐で酒を飲むと酔いが遅いと申しますがやっぱりそんな訳でしょうか」お登和嬢「ハイ、同じ道理だろうと存じます。松茸も人を酔わせるもの、お酒も人を酔わせるもの、お豆腐の蛋白質はその酔わせる刺撃成分を吸収しますから酔いが遅いでしょう。しかしお豆腐が一旦吸収しても人のお腹で段々消化されれば吸収したものを吐き出しましょうけれどもその時間が長いため刺撃の力を大層弱めます。お豆腐ばかりでありません。生玉子でお酒を飲んでも酔いが遅いと申します。それは玉子の蛋白質がアルコール分を吸収するからで、下戸の人にブランデーを飲ませようとしては我慢にも飲みませんが生玉子と混ぜてランブランという薬品にすると下戸でも楽に飲めます。それと同じように焼酎をそのまま下戸に飲ませられませんが焼酎の中へお豆腐を一日漬けておくと誰にでもその焼酎が楽に飲めます。