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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
冬の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 170,664 字 · 341 页
第三百二十三 経世論
失礼ながらお登和さんの洋行費位は何処からでも出るよ。広海さんの方で出来なければ誰に話しても僕が調達する。どうだね中川君、一つこの事を奮発しては」と今は仮初の話しにあらず。中川は即座にも答え兼ねたり「ハア、その事はいずれ後の話しさ。大原君の跡からお登和を洋行させるというと何だか其処に秘密があるように思われてもならん」小山「それは君にも似合わん。秘密がなければ構わんでないか。ナニも同行するという訳でなし。大原君が欧羅巴にいる時お登和さんは亜米利加にいるという風にしたら誰が何というものか。それに家庭教育の事はなかなか広い問題だから大原君一人の力でとても充分調査が出来ないよ。大原君とお登和さんとが手を分けて調査しなければとても好結果は得られんよ。決して私情を以て斟酌する場合でない。国家のためにお登和さんの洋行を必要とするのだね」と小山夫婦は熱心に説き勧むる。中川は無言。大原は聞くや聞かずや人々の談話を余所にして一生懸命に御馳走を飽食している。当人のお登和嬢この話しを耳にしながらわざと台所へ隠れて容易に出で来らず。
第三百二十三 経世論
お登和嬢の心は知る由もなけれども客の小山はなお熱心に説く所あり「ネー中川君、僕の考えでは大原君一人に家庭教育全体の取調を任せるのも甚だ無理だと思う。