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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
冬の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 170,664 字 · 341 页
第二百七十六 貴夫人の学問
この爽麗なる温室内に食卓を開きて伯爵家特有の嘉肴珍味を饗す。この中に入る者はあたかも天界にある心地して忽ち人間塵俗の気を忘る。彩花清香眉目に映じ珍膳瑶盤口舌を悦ばす。主客談笑の間、和気陶然として逸興更に竭くる事なけん。
第二百七十六 貴夫人の学問
小山は徐ろに席に就き「中川君、非常に面倒で大きに弱ったがやっと今日埒が明いたよ」とこの一語は天の福音としてお登和嬢の耳に響きぬ。中川も忽ち愁眉を開き「それは全く御尽力の結果だね、さぞお骨が折れたろう」小山「ウム、実に骨が折れた。最初家庭教育の事を大原君に話して洋行の一件を勧めたら大原君も非常に賛成して是非欧米諸国を巡回してみたい、洋行は年来の志願だから何年でも往っていたいとこういうのさ。ところでお代さんの一件はどうするといったら、それはモー婚礼の期が迫っているので婚礼を済ませて行こうというから、それでは何にもならない、君を洋行させる事に尽力したのも全くその災難を遁れしめるためだ、婚礼を済ませる位なら洋行するに及ばんと広海子爵の意見と君の苦心とを委しく話したところ、大原君のいうにはなるほどその厚意は実にありがたい、しかし僕らがお代先生と婚礼せずに洋行したらお登和嬢も僕の帰るまでは嫁に行かないで待っているつもりだろう、一方にはお代先生も待っている、そうすると僕は再び