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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
冬の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 170,664 字 · 341 页
第三百二十二 母の不足
お登和嬢「マアいいでございませんか。御一所に御飯を召上っていらっしゃいまし」と頻に引留めて人々の帰りを待ちけるに夜に入りて中川小山大原の三人広海家より戻り来りぬ。
第三百二十二 母の不足
ここにおいてお登和嬢が心を籠めたる御馳走は早速人々の前に持出されたり。客も主人も皆な食卓を囲みぬ。客の大原は殊に今日の御馳走を賞翫し「お登和さん、僕もいよいよ四、五日内に海外へ出かけますから今日は昔の大原に立戻って腹の裂けるほど御馳走を戴きます。中川君、今日はカロリー表の制限を許してくれ給え。お登和さんの御馳走で食傷してもサラサラ恨みと思わんからね」中川「アハハ僕らも随分腹が減ったよ。広海さんが是非食事を差上げると言われたけれども家に御馳走の支度があるといって断わったもののこんなに遅くなろうとは思わなかった。お登和や、広海さんの所で今度の日曜日にいよいよ食道楽会を開く事に極まったがちょうど大原さんの洋行も直ぐだから一つには大原さんの送別会を兼ねるのだ。その日には和女にも早く来て手伝ってもらいたいという事だ」お登和嬢「ハイハイお手伝い申しましょうとも」と勇んで答うるは大原への心尽し。