Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
彼は、書斎へ行って本を読んでいるらしかった。ときどき、座敷へ来て、煙草を吸ったりした。一度は、ベランダへ出て来て、倭文子に、
「お寒くありませんか。」
と声をかけたが、倭文子が、
「いいえ。」
と、いっただけで、笑い顔一つしなかったので、彼は三四分傍に立っていただけで、また書斎の方へ去った。あとで倭文子は、あまりそっけなくしたので、少し悪かったと思ったほどである。
だが、京子のいった六時が来ても、京子達は帰って来る容子がなかった。室内の電灯がともり、海上がいつとなくたそがれ、最後までほのかに見えていた天城の連山も、夕雲にとざされ、闇が海上を覆いつくす頃になっても、京子達は帰って来なかった。
倭文子は、とうとう椅子から、身を離し、座敷へ帰って来なければならなかった。
その座敷には、宮田が先刻から退屈そうに金口のシガレットをふかしていた。
「おそいですね、京子さんは。」
「ええ。」
倭文子もそう答えないではいられなかった。
「どうしたんだろう。全くおそいや。」
宮田は、左手の手首の腕時計を見た。
「もう十五分で、七時ですな。いけないな。僕達だけを捨てておいて。