Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
七
他人のために、自分の運命を狂わすなんて、そんな馬鹿なことがあるでしょうか。」
倭文子の今までかくれていた一つの性格が、今突然村川に現れたような気がした。彼女の感情は純真ではあるけれども、地震計のように感じ易いのだ。そうして、その感じによって彼女の心は、水銀の玉のように、ころころころがり廻るのだ。
「あなたは、何のために誓ってくれたのです。あなたの心はそんなに変り易いのですか。」
倭文子は、真青にふるえながら、黙って立っていた。
七
村川は、美しい蛾の羽のように、もろい傷つきやすい心を持っている倭文子をいだいて、眼前に迫る難関を突破することが、どんなに難しいかを考えた。
何よりも、彼女の心に鉄のような……とゆかなくっても、こんなにもろく動揺しない覚悟を植えつけることが、一番大事だと思った。
「もう一度腰かけて下さい。それとも歩きながら話しますか。」
菖蒲の咲いている向うの細長い池の汀を、三人の女学生がこっちへ歩いて来るのを見た倭文子は、村川の言葉をすぐ受け入れて歩き出した。
樫や楓の大樹が、枝を交えている丘を上ると、急に眺望が開けて広々とした草原に出た。