Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
六
死にたいわ!」
「そんなに、宮田君を死んだことにきめないで、もっと待ってみようじゃありませんか。」
「でも、今まで帰って来ないとしたら、もう十一時頃じゃないかしら、先刻から二時間も経っていますわ。」
「とにかく明日まで待ってみましょう。」
「でも、ここにいることは、いやですわ。」
「でも、ここにいなければ、あの男の生死はわかりませんよ。」
「でも、恐いわ。あの人が、生きて帰って来ても死んでいても、いやですわ。ねぇ、村川さん、わたしをつれて、逃げて下さい。わたしあなたと結婚でも何でもしますわ。」
「ここにいて、すべてに堂々と向うことは出来ませんかな。逃げたり、死んだりしないで、お互の愛を力として、あらゆる現実と戦うわけには行きませんか。」
「じゃ、あなただけそうなさいませ。」
「そして、あなたは?」
「わたし、ひとりで死んでしまいますわ。」
「馬鹿なッ! 何をおっしゃるのです。」
村川は、烈しく倭文子の肩をいだいた。
六
倭文子は、シクシク泣き始めていた。
「もっと、しっかりして下さい! お願いですから。」
村川は、倭文子の左の肩にかけた手で倭文子の身体を強くひきよせた。
倭文子は、引き寄せられるままに、村川にぴったり身体を寄せた。