Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
三
三
「ご免なさい!」
「おや、また村川さん鬼ですか。」
「そうです。」
夫人は、居間で、小遣帳らしいものを出して調べていた。五十に近い小柄な細面の顔は年よりも老けて見えた。
「また、美智子がおねだりしたのでしょう。本当にご迷惑ですね。」
「いいえ、そこの押入をちょっと開けてもいいですか。」
「はい、どうぞ。」
夫人は押入の前から、身を退ってくれた。村川は、近づいて押入の襖に手をかけようとした、すると、押入の中が、ひとりでにゴトゴトと動いて、宗三が姿を現わした。
「いやだ! いやだ! お母さまがいいつけるんだもの。」
「まあ。誰も、いいつけはしませんよ。」
「だって、どいちゃいやだよ。お母さまにここにいてちょうだいといったじゃないの。」
「だって、そんな事は、無理ですよ。ねぇ、村川さん!」
村川は苦笑していた。
「つまんないなあ。」
「ずるいわ。兄さん!」
美智子が、いつの間にかそのかくれ場所から出て来ていた。
「なに! おてんば!」
宗三は気色ばんだ。
「鬼になって、文句をいう奴は……」
美智子は、片足でトントン廊下を駆け去りながら叫んだ。
京子と倭文子とが並んで、洋館の方から来た。