Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
六
「川辺さんとはどういうご関係ですか。」
「わたしの母が川辺から参っているのでございます。」
倭文子の声は、泣き出しそうな声だった。
「じゃ、川辺さんは母方の伯父さんですね。」
「はい。」
「じゃ、なかなか深いご関係ですね。それで、お母さまはおたっしゃですか。」
「いいえ。」
「じゃ、とっくになくなられたわけですね。お父さまは。」
倭文子は、涙ぐんだ。彼女は何か責苦に会っているように、悲しかった。
「お父さまはおたっしゃですか。」
倭文子は、顔をそむけながら頭を振った。
「いや、どうも大変失礼なことを伺いました。ご両親が、いらっしゃらないのには、しみじみご同情いたしますよ。僕のように三十を越すと、親などはあってもなくても同じですが、あなたのように二十前後で、ご両親ことにお母さまのいらっしゃらないのは、全くお気の毒ですね。」
倭文子は、宮田の言葉をきいていると、先刻からのなさけなさが、口惜しさが、急に大つぶの涙になって、ポトポトと膝の上に落ちた。
六
倭文子の落した涙を、宮田は自分の慰めの言葉の効果だと思って得意になっていた。そして自分の言葉に、こんなにも手答えがあるのなら、この女の心を自分のものにするのは、何でもないと思った。