Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
五
「ええ。」といったまま、倭文子は月を見ないで、地上を見つめていた。
村川は、倭文子の打ち溶けない堅い心が、自分の胸につかえてくるのを感じた。彼は、倭文子に対して持っていた予想が、はずれかけているのを感じた。
五分、七分、二人の不自然な心と姿勢との上に時が流れた。
倭文子のこわばっていた身体が少し動いた。
「もう遅うございますから、失礼しますわ。」
村川は、真向から突き飛ばされたような気がした。
だが、絶望だと感ずると、かえって村川に積極的な勇気が湧いて来た。
「倭文子さん。僕はあなたに、お話があるのですが。」
倭文子は前よりも蒼白になって立ちすくんだ。
五
倭文子の顔には、当惑の色が、強く浮き出ていた。
「お話をする間、ちょっと一緒に歩いて下さいませんか。」
「でも、わたくし。」
倭文子は泣き出しそうな声でいった。
「ホンのちょっとでいいのです。」
村川も必死になっていた。
「でも、こんなに遅く……」
「ご迷惑だとおっしゃるのですか。」
「いいえ、でも……」
「ご迷惑はかけないつもりですが。」
倭文子は、だまってしまった。といったものの、村川は、何から話していいのかわからなかった。