Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
七
カチッと音がしたかと思うと、パッとついた電灯の光の中に、白と黒とのあざやかな棒縞を着た京子が、ニコニコ笑いながら立っていた。
七
「悪かったわねぇ。お休みになっているところを。」
京子は、そういいながら、ちっとも悪かったらしい顔をしないで、後の障子をしめると、そこの柱を背にして、腰をおろした。
「いいえ。わたし、まだ寝ていませんでしたの。」
「ねぇ、倭文子さん。わたしまた村川さんのあること聞いたのよ。」
倭文子はそれを「何ですの」といって訊きただそうとする勇気はなかった。
「ねぇ、ちょっと村川さんがね。昨夕芸妓に送られて帰って来たのですって。」
倭文子は見はった眼から危く涙がこぼれそうになった。
「ほんとうですの。」
「ほんとうですもの。野村が見つけたんですって。」
「まあ!」
「それでも、まだあなた、あの方をお信じになるの。」
倭文子は、うつむいたまま言葉がなかった。
京子は、しばらくだまっていたが、
「ああ、もうすぐ十時だわ。もう五分前よ。」
彼女は左の手首につけたプラチナの時計を見ながら、いいつづけた。
「あなた、気にならない。」
倭文子は、涙ぐんだ眸をちらとあげたが、すぐ顔を伏せた。