Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「人が来ると、いけないから、ここの部屋へお入りにならない?」

彼女は、寝室のドアを開けた。

「ここなら、大丈夫ですわ。」

村川は、倭文子と一緒に寝室へ入るのが、少し心をとがめた。だがいやしい想像から浄い倭文子は、そんなことは何とも思っていないらしかった。

「残念だが、石炭がありませんね。」

「とって参りますわ。お湯殿の傍に積んでありますの。」

「僕がとって来ましょう。」

「見つかるといけませんわ。わたし、行って参りますわ。」

倭文子は愛人をかくまう映画の女主人公のように、かいがいしく出て行った。

四

村川が、寒さにふるえながら待っていると、倭文子はバケツに一杯の石炭を持って来た。そして悲しみと不安との中にも、ちょっと村川と顔を見合せて、笑った。

「なかなか力がありますね。」

「だって、故郷にいましたときは、お台所もしていましたのよ。」

倭文子は、軽く息をはずませながら、親しそうに物をいったが、村川のシャツ一枚の姿に初めて気がついたように、

「まあ! お寒いでしょう。何か着物を持って参りますわ。」

「いいですよ。いいですよ。」

倭文子は、それを聞かないで出て行ったが、一枚のどてらを持って帰って来た。