Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

七

」

倭文子は、不安らしく立ち上った。

「じゃ、あしたまた来て下さいますね。」

倭文子は、だまっていた。男と会合の約束をすることなどは、彼女にとってあまりに恐ろしいことだったのだろう。

「あしたの晩、ちょうど今頃来て下さいますか。」

倭文子は、だまっていた。

「ね、来て下さい。ねぇ、ねぇ。お願いですから。」

倭文子は、まだ返事をしなかった。

「十時カッキリに来て下さい。僕は早くから待っていますから。ね、いいでしょう。ね、ねぇ。」

村川は、子供をすかせるように、倭文子の耳にささやいた。

倭文子は、やっとかすかに肯く。村川が引き寄せようとするのを、軽く振りのけながら、家の方へ歩み去った。

「何というかわいい女だろう。俺はすべてを彼女のために、ささげるぞ。」

村川は、倭文子の後姿を見守りながら、心に誓った。

七

恋人同士が、ランデブーをするときは、思いの深い方が、その場所へ先へ行っているといわれている。村川は、そんなことをつい今月号の雑誌で読んだので、その翌晩は九時半になると、もう、心が落着きを失っていた。

倭文子が昨夕はあんなに承諾しても、一晩のうちにどんなに気持が変っているかもしれない。