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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

気の弱い彼女は、人目を忍んでする恋の危うさ恐さをおそれ、今にして思い切った方が、結局幸福ではないのかしらと、考え直していやしないか。そんな不安が後から後から頭に浮んで来る。でも、その晩は、どうしたのか九時半が来ても京子が書斎にいて、日本館の方へ引き取ってくれない。庭へ出るつもりで、京子の部屋の前などを通り、つい声をかけられたらことだと思ったので、村川はいらだって来る心を抑えて、じっと書斎で待っていた。すると、十時近くになって、京子の部屋のドアが開いた。そして間もなく京子が廊下を伝いながら歌っているらしい歌が聞えて来た。

鐘が鳴りますかやの木山に

山は寒空、うすあかり

一つ星さえちらつくものを

なぜにちらとも出て見えぬ

京子は美しい肉声が、自慢であった。この歌も幾度も聞かされた歌だが、この場合庭の四阿で、自分が待っている倭文子の心を、そのまま歌っているように聞えたので、村川は京子の足音が聞えなくなるのを待ちかねて、飛ぶように階段を駆け降りた。

月は、昨夕よりも澄んでいた。露をしっとりと含んだ庭の樹々は、銘々の黒い影を地に投げていた。

四阿に近づいてみると、倭文子はしょんぼりと縁に腰をかけていた。