Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
村川はあきらめていった。
「村川さん、ここにいちゃ駄目よ。こちらへいらっしゃいよ。」
美智子は、村川を引き立てて、暖炉の前に立ててある衝立の陰へつれて行った。
「しゃがんでいてちょうだいよ。」
「さんざんだな。」
村川は、苦笑しながら衝立を背にしてしゃがんだ。皆は、笑いさざめきながら、日本館の方へ出て行った。
仕方なしに、窓から外を眺めると、汚く梢に残っている八重桜の花の間から、晩春の空が名残りなく晴れているのが見える。
「まあだだよ!」
「まあだだよ!」
美智子と宗三との声が遠くから、彼方此方に動きながら聞えて来る。
この家は、かなり広かった。主人の、川辺宗太郎が、二十年近く前桂内閣の閣僚の椅子を占めていた全盛時代に、小石川原町の高台を五千坪近く買って、建築した邸宅だけに、日本館と洋館とを合せて間数三十いくつを数えて、かくれんぼをするのには、絶好の広さである。もっとも、その後ずっと不遇な位置にあって、貴族院議員の歳費だけでは、やって行かれない主人は、その広い宅地を五百坪、七百坪といった風に切売りして、今ではこの建物の周囲の千幾坪しか残っていない。この広壮な建物も、もしかすると、抵当に入っているかもわからない。